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民主党政権政策/マニフェスト

 I はじめに ―菅直人から国民のみなさんへ
 日本では、野党第一党が選挙で勝って政権の座につくという、他の国で日常的に起きているかたちでの政権交代を経験したことがありません。私がはじめて経験した10年前の政権交代は、当時の野党第一党(社会党)は惨敗したものの、自民党が過半数を割ったことから、野党が連立して細川政権を誕生させたものです。その後の内閣交代も連立与党の組み替えによるもので、選挙に伴う二大政党間での政権交代ではありませんでした。民主党が政権を担うことになれば、それは日本ではじめてのケースとなります。

 「マニフェスト」は政権を争う二大政党が、それぞれ、政権を担当したときに実行する政策を政権担当前に国民のみなさんに約束する「政権政策」です。二大政党が対抗する場合、国民のみなさんは、いずれかの政党を選ぶことで、政権を構成する与党と首相とマニフェスト(政権政策)、つまり「政権」それ自体を選択することと同じことになるのです。

 議院内閣制を採用している日本の国政では、これまで、二大政党制になっていなかったために、国民のみなさんは、「政権」それ自体を選択することはできなかったのです。民主党と自由党は二大政党の一翼を担うため、「小異を残して大同につく」という覚悟で合併し、新しい民主党を発足させました。この絶好の機会に、国民のみなさんに私たちのマニフェストを選択していただくことを願ってやみません。

 私は、政治の目標は「最小不幸社会」の実現と考えています。国民の中には「不幸」に遭遇している人たちがいます。そして、人々が「不幸」になる原因はさまざまです。その原因を、政治の力、つまり「政権」がとり除けるものはできるだけとり除き、「不幸」を最小化すること、それが政治の目標だと思います。

 なぜ「最大幸福」と言わないで「最小不幸」と言うかといえば、病気や貧困といった「不幸」の原因は相当程度「政権」の力でとり除くことができますが、「幸福」のかなりの部分は、恋愛や美意識といった「政権」という権力が関与すべきでない分野の問題であると考えているからです。一部の人が無理に「幸福」を押しつけようとして「政権」の力を行使すると、そこには一種の強制や独裁が生まれます。政治権力は人の生死をも左右する強制力を伴うものだけに、その行使は人々の「不幸」の原因を最小化することを目標とすべきであり、美意識のような個人的選好に属する「価値」の実現を目標とすべきではないというのが、私の政治に対する基本的哲学です。

 「最小不幸社会」というと何か弱々しいイメージを与えるかもしれません。しかし、私がみなさんにお伝えしたい考えはそういうものではありません。むしろ、多くの人々の「不幸」を最小化するためには、政治権力をつかうことを辞さない決意です。治安と防衛もそのひとつです。「最小不幸社会」の実現のためには、国民のみなさんを犯罪、侵略、テロから守ることは当然のことです。最低限の政府の責務と言えます。国民の生命と財産を守るためには、国家にとって適切な警察力と防衛力は欠かせません。

 また「最小不幸社会」というと、福祉国家的な大きな政府を連想する人もいるかもしれません。しかしそれも正確ではありません。自立した個人には、規制が緩和された自由な経済市場や社会の中でその力を存分に発揮して頂きたいと思います。しかし、個人の責任ではない原因によって困難な状況に陥った人には、政治の力で手をさしのべるべきだと考えます。そうした観点から、たとえば、天災や犯罪に巻き込まれた被害者の救済などには積極的に取り組むべきだと思います。

 今日の中小企業・零細事業者のみなさんの困難な状態や失業者の困窮は、これまでの経済政策の失敗が大きな原因です。したがって、困難と立ち向かい、新たな出発をめざして努力しているみなさんへの支援は、これからの「政権」の大きな責任だと考えています。

 また、こうした課題に対処するために、政治家自らが責任をもって政策を企画・実行・検証(Plan−Do−Check)していくことが必要です。官僚組織に政策を丸投げすることなく、官僚組織と適切な関係を構築し、「政権」が責任をもって主体的に国を運営していくべきだと考えます。


 こうした考え方にもとづいて、政権を担当させて頂いた場合には、「最小不幸社会」の実現と脱官僚政権をめざし、必ず次のことを実行します。


1.基礎年金の税方式への移行
 基礎年金と所得比例部分からなる二階建て年金制度を4年以内に確立します。財源については、消費税と掛け金の組み合わせで安定化させます。

2.凶悪犯罪への罰則強化と警察官の増員
 警察官を4年間で3万人以上増員するとともに、凶悪犯罪を厳罰化し、治安の回復につとめて、暴力や犯罪を許さない社会をめざします。

3.川辺川ダム・諫早干拓・吉野川可動堰計画の即時中止
 これまで税金を無駄に使っていた、自然破壊型の公共事業を改め、自然回復型の新しい公共事業への転換をすすめます。

4.高速道路の無料化と道路公団の廃止
 地域経済活性化と流通コストの削減をはかるため、大都市以外の高速道路は3年以内に無料とし、道路公団は廃止します。

5.国会議員数1割以上、公務員人件費の1割以上を4年間で削減
 国会議員数及び公務員人件費を削減するとともに、高級官僚の天下り禁止、政治資金の全面公開、勾留中の議員報酬の凍結を実現します。

6.30人学級制と学校5日制の見直し
 子ども一人ひとりに行き届いた教育ができるよう少人数教育の確立、特に、4年以内に小学校低学年30人学級の実現や、学校5日制の見直しで学力回復をめざします。

7.補助金18兆円を地方の自主的な財源に
 無駄の多い、国から自治体へのひも付き補助金を4年以内に廃止し、地域が自主的に使える財源を飛躍的に増やします。



2003年秋
民主党代表 菅直人


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