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(97.6.19)

「なぜドジャースを選んだのか。」と記者に聞かれて野茂は 「他球団にはオマリー会長」がいなかった、と答えた。 このドジャースのオーナーであるオマリー会長とはどのような人物なのか。  

彼の父親が初代オーナーで、ドジャースはその頃から開拓者精神溢れるチームであり、 人種 差別を越えて初めて黒人選手をMLBに入れたのも、初めて東部から西海岸に移動したのも ドジャースである。  今でもドジャースは最も国際化が進んだチームで、野茂を含めてアメリカ国籍外選手が5 0%を占めるそうだ。 アメリカ、メキシコ、ドミニカ、日本の先発投手で組んだInternational Rotationは有名。 抑えに韓国の朴投手もいる。 オマリー会長は国際化をいろいろ考えているらしく、野茂も朴も欠かせない選手だそうだ。 (と思ったら97年にはドジャースは身売りだ。)   

話は飛ぶが、アメリカにはやはり開拓者精神に溢れる人が多い。 CPUのザイログ社を作った人は,その後会社をやめて,ゼロからアンガマンバス社(LANで有名)を作った。ところが、今度、「インターネットのTCP/IPは絶対に滅びる。」といってまた会社を飛び出し、再びゼロからATMの会社を作るそうだ。これだけ普及したTCP/IPに対抗しようというのだから大した物だ。相当な歳なのによくやる。    

ところがもっとすごいのがいて、昔、電話の自動交換機を作ったのは 電気をまったく知らない葬儀屋さんだった。

自動交換機というのは電話機のダイヤルをまわすと相手につなげてくれる装置のことで、 それ以前,昔は電話局に電話して交換手を呼びだし、「どこどこにつないでくれ。」と依頼し, 交換手は電話線のジャックを相手先のジャックにつないでいた。  

ある日、順調だった葬儀屋さんの仕事が突然、お客が来なくなった。 調べてみると,電話交換手がライバルの葬儀社に買収されていた。 怒った葬儀屋さんは,そんな仕組みはぶち壊してやる,といって自動交換機を作ったそうだ。  相手を訴えるならわかるが、素人が自動交換機を作ろう、という発想はすごい。

現在2000年において、これに匹敵することが起きている。医者が個人で通貨を作っているのだそうだ。DigiGoldという。ドルなどの国家通貨から独立で、保有している金にリンクした金本位制の通貨をインターネット上の電子マネーとする。インターネット、暗号化技術、認証技術、経済のどの分野にも関係ないシロウトがよくも実行するものだ。普通ならアイデアが浮かんでもジョークで済ますぞ。



96年、ロッテの伊良部が大リーグに行きたいと言い出し、ロッテはパドレスとの金銭トレードを画策した。しかし伊良部はヤンキースに行きたいといい、伊良部の代理人は、ロッテ、パドレス、ヤンキースを巻き込んで野球協約がどうだこうだと日本のストーブリーグをにぎわし、すったもんだのあげくにヤンキースに入団した。

その同じ年、キューバのヘルナンデス投手はボートを漕いでカリブ海を横断してアメリカに亡命し、ヤンキースに入団した。

漂流中は一日中バケツでボートの中から水を掻き出していた日もあったり、周りにサメがでたり、もうだめだ、と思った日もあったそうだ。

日本が契約問題でチマチマ言ってるのに対し、なんと大胆な行動。もし伊良部がヨットで太平洋を横断したなら誰も文句を言わずにどこでも好きな球団に行けたことだろう。

伊良部自身、ヤンキースに入団してヘルナンデスから話しを聞いて、そうとう感じ入っていたのをTVで見たことがある。



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