球宴、将来は日本連合軍vs米多国籍軍?
リーグ対決は時代遅れ

 マリナーズのイチロー外野手(27)、佐々木主浩投手(33)の2人の日本人選手がジャックした今年のオールスターゲーム。くしくも米全国紙「USA TODAY」は、「ア、ナ両リーグによるオールスターは時代遅れになりつつある。いずれは、米国対外国勢による国際的球宴の方がファンにアピールするのではないか!」とぶち上げた。これもイチロー効果というべきなのだろうか?

 イチローと佐々木の2人が出て、これまでとは違った盛り上がりを見せた今年のオールスターゲーム。

 だがここ数年、米国の夢のオールスターゲームが少しずつ、ファンから飽きられ始めているのも事実なのだ。

 「これはエキシビション。勝つことにあまり意味がない」

 試合前、こういったのはアメリカン・リーグの指揮をとるジョー・トーレ監督(ヤンキース)だった。

 実際、ハッスルプレーで人気だったピート・ローズ内野手が現役だった1970年代まで、オールスターゲームでの勝ち負けは選手、ファンにとって非常な関心事だった。

 ところがフリーエージェント制度ができて、選手の年俸が高くなり、オールスターゲームより休みを欲しがる選手が続出するようになって、ファンのオールスターゲーム離れも顕著になってきた。

 1980年代、全米の1500万人から2000万人がテレビにくぎ付けになっていたオールスターゲームの視聴率が最盛期から45%近くも落ち、さらに去年はスターの相次ぐ欠場で、テレビの視聴率は最悪のレベルにまで落ち込んだ。

 しかも、ここ数年ですっかり定着したシーズン中のインターリーグ(交流試合)もオールスターゲームの人気に陰を落としている。

 ヤンキース対メッツ、ドジャース対エンゼルス。ワールドシリーズか、オールスターゲームでしか見られないカードがシーズン中に何度も見ることができるようになって、オールスターゲームの価値は下がってしまったのだ。

 だが、これが国対国の戦いになれば、選手の思い入れもファンの思い入れもグンと違ってくるのではないか、というのが「USA TODAY」の言い分。

 今年、メジャーリーガーは初めてアメリカ以外で生まれた選手が全体の25%を超えた。

 メジャーの伝統を変えてまで試合形式を変えようとは思わない、という答えをするメジャー関係者は依然多い。だが、同紙が別表のようなリストを作成したところ、「面白いじゃない」という感想もいくつか返ってきたという。

 夕刊フジもこれに同感だ。

 さらに、行く行くは「イチロー、新庄剛志、野茂英雄、佐々木」の常連に加えて、“メジャー予備軍”ともいえる松井稼頭男内野手(西武)、石井一久投手(ヤクルト)を加えた日本連合軍対米多国籍軍が実現すれば、さらに感激だ。

 夢のまた夢ではあるが、1995年に野茂がメジャーに挑戦するまでは、だれも日本人メジャーリーガーを本気で考えていなかったことを思い起こせば、決してあり得ない話ではない。

<米国、世界選抜メンバー>
米国選抜 世界選抜
M・ピアザ 【捕手】 I・ロドリゲス
(メッツ) (レンジャーズ=プ)
T・ヘルトン 【一塁手】 C・デルガド
(ロッキーズ) (ブルージェイズ=プ)
ブーン 【二塁手】 R・アロマー
(マリナーズ) (インディアンス=プ)
C・ジョーンズ 【三塁手】 A・プホルス
(ブレーブス) (カージナルス=ド)
A・ロドリゲス 【遊撃手】 C・グーズマン
(レンジャーズ) (ツインズ=ド)
B・ボンズ 【外野手】 M・ラミレス
(ジャイアンツ) (レッドソックス=ド)
L・ゴンザレス イチロー
(Dバックス) (マリナーズ=日本)
L・バークマン L・ウォーカー
(レンジャーズ) (ロッキーズ=カナダ)
E・マルチネス 【DH】 S・ソーサ
(マリナーズ) (カブス=ド)
※プはプエルトリコ、ドはドミニカ共和国。 Dバックスはダイヤモンドバックス