自民党

党代表: 小泉総理の声名

イラク問題についての政府の基本的な考え方を明らかにし、皆様のご理解とご協力を得たいと思います。  

数時間前、米国をはじめとする国々は、イラクが国際社会の平和と安全に与えている脅威を取り除くための最後の手段として、イラクに対する武力行使を開始しました。  

イラクは、昨年11月に全会一致で採決された国連安保理決議1441によって、国際社会から、大量破壊兵器を廃棄するための最後の機会を与えられました。私は、イラクへの総理特使の派遣を含め、イラクが直ちに国連査察団に対して無条件かつ積極的に協力することによって平和への道を選ぶよう、繰り返し呼びかけてきました。国際社会も、一致して、イラクの全面的協力を強く求めてきました。

イラクに対するコメント

平和への鍵はイラクだけが握っているのが明らかだからです。しかし、大変残念なことに、イラクは国際社会の真摯な努力に応えず、自ら平和への道を閉ざしてきました。  

フセインに対するコメント

サダム・フセインは、これまで、隣国に対しても、また、驚くべきことに、イラク国民自身に対しても、違法で残酷な化学兵器を使用したことがあります。イラクは、今から13年前、突然クウェートを侵略し、併合を宣言しました。

国際社会は、イラクの国際法を無視した蛮行を厳しく糾弾し、多数の国々の軍事力によってこれをただしました。停戦にあたって、イラクは、地域の平和と安定を脅かす大量破壊兵器を廃棄することを約束しました。この約束は完全に実行され、イラクが大量破壊兵器を全て破棄したことが確認されなければなりません。それが出来て初めて、この地域の平和と安全の確保が可能となります。しかし、イラクはこれに応じようとしませんでした。  

大量破壊兵器は、大量かつ無差別に市民を殺害し、傷つける恐ろしい兵器です。私達は、このような非人道的な兵器が自国民を圧政の下に置く独裁者の手中にあることを、真剣に考えなければなりません。特に、一昨年9月11日の同時多発テロ以来、国際社会は、テロリストが核物質や、生物兵器、化学兵器を入手した場合の恐怖を強く認識するようになりました。今日の国際社会において、大量破壊兵器の保有の有無は、うやむやに放置しておけるような問題ではないのです。

日本の危険に対するコメント

わが国を取り巻くアジア地域も、決して、この問題と無縁ではありません。  

 

イラクは、国際社会に対して、かつて保有し使用した大量破壊兵器を廃棄したのかどうかを十分に説明しませんでした。イラクは、VXガスやマスタード・ガスのような化学兵器、炭そ菌やボツリヌス菌のような生物兵器など、何億人もの人々を殺傷出来る量を保有していたと言われています。しかし、イラクは、このような恐ろしい兵器の行方について必要な説明を行わず、国際社会に対して誠意ある回答を示さなかったのです。  

国際社会は、17本にものぼる国連安保理決議を採択し、一致してイラクに対する説得にあたってきました。しかし、イラクは、12年間にもわたって国連安保理決議への違反を続けてきました。これは、イラクによる国連に対する挑戦であり、国連の権威の侮辱です。このような状況の下で、私は、安保理が一致団結し、国際社会の平和と安全に対して責任を果たすべきことを、ブッシュ米国大統領やシラクフランス大統領を含む関係国首脳に対して、直接訴えてきました。最終的に安保理での意見の一致が見られず、安保理が一致団結出来なかったことは残念です。

しかしながら、何度も何度も平和的解決のための機会を与えられたにもかかわらず、イラクがその機会を一切活かそうとせず、安保理決議違反を繰り返してきたことは、決して見逃されてはなりません。問題の解決をいつまでも先延ばしにすることは許されないのです。イラクの対応を根本的に変えるための方策も見通しも全く見出せない以上、武力行使にいたったことはやむを得ないことだと考えます。  

米国との関係について

今、米国はこのような大量破壊兵器を廃棄する国際的な動きの先頭に立っています。米国はわが国のかけがえのない同盟国であり、わが国の平和と安全を守るための貴重な抑止力を提供していますわが国を取り巻くアジア地域の平和と安全の確保にとっても、米国の役割は不可欠です。そのような米国が、国際社会の大儀に従って大きな犠牲を払おうとしている時、わが国が可能な限りの支援を行うことは、わが国の責務であり、当然のことであると考えます。  いかなる場合においても、武力行使を支持することは容易な決断ではありません。戦闘なしに大量破壊兵器が廃棄されることが最善の策であることは、言うまでもありません。

しかし、それが不可能な状況の下では、わが国としては、国際社会の責任ある一員として、この度の米国をはじめとする国々による行動を支持することがわが国の国家利益に適うとの結論に達しました。  今般の事態に際し、政府は、直ちに安全保障会議を開催し、緊急性を有する措置に関する対処方針を速やかに決定するとともに、その後の臨時閣議において、事態の推移を見守りつつ検討すべき措置に関する対処方針もあわせて決定いたしました。同時に、内閣に「イラク問題対策本部」を設置し、この対処方針に基づき、政府が一体となって総合的かつ効果的な緊急対策を強力に推進することといたしました。  

政府は、イラクとその周辺における邦人の安全確保のために万全の措置を講じてまいります。また、国内重要施設、在日米軍施設、各国公館の警戒警備等、国内における警戒態勢の強化・徹底を図ります。更に、わが国関係船舶の航行の安全を確保するため所要の措置を講じてまいります。  政府は、原油の安定供給をはじめ、世界及びわが国の経済システムに混乱が生じないよう、関係国と協調し、状況の変化に対応して適切な措置を講じてまいります。このため、原油等物資の市場動向や供給状態、金融・証券市場の動向を監視します。また、関係諸国等と連携しつつ、必要に応じて、原油の安定供給のための適切な措置を実施します。更に、外国為替市場の安定化、金融システムの安定の確保、国内の流動性の確保に努めます。  

わが国は、この度の武力行使によって被災民が発生するのに応じて、国際機関やNGOを通じた支援や、周辺国に対する国際平和協力法に基づく自衛隊機等による人道物資の輸送等の支援を含め、緊急人道支援を行います。  わが国は、イラク及びその周辺地域の平和と安定の回復がわが国にとっても重要であるとの認識に立って、この度の事態に対して積極的な対応を行ってまいります。  

わが国は、今後の事態の推移を見守りつつ、次のような措置を検討してまいります。  第一に、この度の武力行使によって経済的影響を受けるイラク周辺地域に対して、影響を緩和するための支援を行います。  第二に、イラクにおける大量破壊兵器等の処理、海上における遺棄機雷の処理、復旧・復興支援や人道支援等のための所要の措置を講じてまいります。  また、これらの措置とは別に、わが国は、アフガニスタン等におけるテロとの闘いを継続する諸外国の軍隊等に対して、テロ対策特措法に基づく支援を継続・強化します。  

私は、戦闘が一刻も早く、しかも、国際社会に対するイラクの脅威を取り除く形で、終結することを心から望んでいます。同時に、イラクが一日も早く再建され、人々が自由で豊かな社会の中で暮らしていけるよう、イラクの復旧・復興のためわが国が出来る限りの支援を行っていく考えであることを、ここで明らかにしておきたいと思います。  

中東地域の平和と安定は、わが国自身の平和と繁栄に直結する重大な問題です。わが国は、イラク及びその周辺地域の平和と安定の回復に寄与することに加え、中東和平問題への真剣な取り組みを続けていきます。また、悠久の歴史と文明を有するイスラム世界との対話を継続・強化し、幅広い交流と相互理解を進めていきたいと考えます。  私は、以上のような政府の考え方について、国民の皆様のご理解とご協力を心からお願いいたします。


公明党

党代表: 神崎武法代表の声名

公明党の神崎武法代表は19日午後、国会内で記者会見し、質問に答える形で、イラク問題への対応を中心に、大要次のような見解を述べた。 ――日本外交における「日米同盟」と「国際協調」の兼ね合いはどうなるか。   ある局面では、日米同盟が大きく出る局面があるが、全体としては国際協調と日米同盟という2つの軸が、今後とも堅持されていくと思う。イラク問題は、一時的に国際協調の観点から残念な流れになっているが、また国際協調に戻るような努力が関係各国から当然なされるだろう。日本も、その努力をすべきであり、日本の外交は、国際協調と日米同盟という2つの軸をきちんと持って、今後とも進めていくべきだ。  ――米国の新決議なしの武力行使は国連憲章違反との批判が高まっているが。  イラクはこの12年間、17回の国連決議があるにもかかわらず、大量破壊兵器を廃棄しなかった。そのイラクを放置してきた国連の責任は大きい。明らかに(イラクは)国連決議に違反しており、それが長期間繰り返されてきた。これに対して、国連安保理理事国は何もできないでいたということを、自ら反省する必要がある。国際社会が一致結束してイラク問題に対処することが大事だったわけで、それが崩れたからといって、「責任は米国だけにある」と一方的に言えないのではないか。


党の声名

「米・英等によるイラクへの武力行使に関する党見解」 一刻も早い軍事行動終結を 武力行使は極めて残念

公明党は20日午後、米英などによる対イラク武力行使が開始されたことを受け、次のような党見解を発表した。 平和的解決の道を閉ざしたイラクに非がある

1. 米英など有志国連合によるイラク攻撃が3月20日午前11時40分頃(日本時間)に始まった。平和的解決という国際社会の切実な願いにもかかわらず、武力行使という最後の手段に至ったことは極めて残念であり、悲しむべき事態である。一刻も早い軍事行動の終結・事態解決を強く望むものである。

2.今回の武力行使は、イラクの武装解除のため米国が「48時間」の猶予通告をし、フセイン・イラク大統領に平和的解決への道が残されていたにもかかわらず、これを拒否した結果、余儀なくされたものであり、フセイン大統領の責任に帰着する極めて遺憾な事態であると言わざるを得ない。  

大量破壊兵器の完全廃棄は、過去12年もの間、国連安全保障理事会(以下安保理という)が17本にわたる決議を重ねてイラクに課してきた重い責務であった。国連の査察再開から4ヶ月を過ぎてもVXガスや炭疽菌など極めて危険な大量破壊兵器である生物・化学兵器の行方が解明されておらず、これがテロ組織に渡れば、日本を含めて世界中がテロの脅威にさらされることは必至である。仮に、イラクが国際社会の要求に誠実に対応していれば、今回の事態は避けられたという意味でも、「非」はイラクにある。

3.今回の武力行使について米国は、安保理決議678(対イラク武力行使容認決議)、687(対イラク大量破壊兵器等廃棄条件付停戦決議)に基づき、同じく決議1441で「最後の機会」として与えられた大量破壊兵器の廃棄についての履行義務を怠ったことにより行なわれるものとしており、その点では、法的には国連を中心とした国際協調の枠組みの文脈のもとに行なわれているものと見られる。  ただ、公明党としては、なお重ねてもう一押しの努力により国連が最後まで一致して対処することが望ましかったと考え願っていただけに、最終局面で安保理が一致できず、イラクの武装解除・大量破壊兵器のテロ組織への拡散防止という永年の国際社会の願いが、米英など国連加盟国の一部有志国のみによる武力行使という手段によって行われるということになったことは、極めて残念である。

4. イラク問題について公明党は、今日まで一貫して国連の一致した対処による事態解決を期待し、日本政府にもそのための努力を求める一方、自らも平和的解決をめざし、アナン国連事務総長に直接会って平和的解決への行動を要請するなど独自の外交努力を展開してきた。  残念ながら国連安保理が結論を生み出せず、今回の事態に至った以上、安保理が本来の機能を回復し、速やかに事態解決が図られることを強く望みたい。  このため、わが党は政府に対して、早期解決および事態収拾に向けたあらゆる外交的努力を講ずるよう強く求めていく。

日本は人道支援に全力尽くせ

5.また、米英両国は軍事行動後について、安保理決議を求めてイラクの復興と平和の回復に努めることを表明し、アナン国連事務総長も復興への国連の尽力を訴えているように、イラクの復興に国際社会は協調して取り組むべきである。それは、国連の信頼回復にもつながる。そして、この点での日本の果たす役割は大きいと考える。  公明党は、軍事行動の開始に伴い、すでに発生している難民支援も含め、いわゆる「人道支援」の面で、日本が積極的に関わり、国際社会の信頼を得るような貢献を早急に開始するよう政府に強く働きかけていく。  なお、日本政府は今回の事態に対し、国民の安全確保及び経済の混乱回避に万全を期すべきことを強調しておきたい。

 

 


 

民主党

党代表: 菅氏の声名

2003年03月20日  「一刻も早い攻撃中止を米英に求める」

 米英両国によるイラクへの攻撃開始という事態を受けて、民主党の菅直人代表は20日午後、緊急に記者会見し、両国が武力行使を一刻も早く中止するよう表明するとともに、両国の駐日大使を通じて抗議の申し入れを行っていることを明らかにした。  

菅代表は、同日昼前に始まった米国などの武力行使について、「反対してきた民主党としては大変残念な展開。少なくとも、査察の継続を求めるのは、わが党だけではなく、おそらく国連安保理の多数意思でもあった。

米国等の行動は、戦後、国連に国際紛争を解決する機関としての機能を持たせてきたことを踏みにじるもので、今後の国際協調に大変大きな影を落とした」と表明した。  

午後の本会議で小泉首相が行った報告については、「率直に言って、旨に迫ってくるような言葉は何一つ感じられず、役所の作った文章を読み上げているにすぎない。『イラクが国連を侮辱した』という言い方もしていたが、同時に米国の行動も国連の権威を高めるものではなく、これを無視した行動であり、矛盾に満ちた説明だった」と強く批判した。  

菅代表はまた、19日の党首討論で小泉首相が「民主党は日米関係を重視していない」と述べたことについて、「日本にとって日米関係が外交政策の基軸であるという前提ですべてのことに当たっている。そういう関係の米国だからこそ、米ソ体制が崩れて唯一の超大国になり、ユニラテラリズム、一国主義的な行き方をすることに対しては、パートナーとしてたしなめることが必要。米が一国で仕切ることを容認することは、米国にとっても望ましくないこと」と反論した。


党の声名:

2003年3月19日 ブッシュ大統領の最後通告を受けたイラク問題に関する考え方

1.イラク問題への基本認識

l 民主党は、国連安保理等を通じた国際協調体制が重要であるとの観点から、武力行使によらない平和的解決を訴えてきた。イラクは、これまで累次の国連決議を遵守しておらず、イラクに対して、改めて大量破壊兵器の完全な廃棄を促す。米国等に対しても、国連憲章に定める武力行使に関する国際法の原則に基づき、単独主義的な行動をとらないよう強く自制を促し、慎重な対応をとるよう要請してきた。

l イラクの大量破壊兵器に関する疑惑は完全に払拭されたとは言い難いものの、装備や人員など査察体制を抜本的に強化し、数ヶ月の期限を切って国連査察を継続すれば、国連安保理決議1441が意図したイラクによる大量破壊兵器の完全廃棄は十分可能だと考える。

2.当面の対応 l 国連安保理等を通じた国際協調体制が重要であり、平和的解決の途を最後まで真摯に働きかけるべきである。

l ブッシュ政権が、国連安保理での問題解決を放棄し、一方的に48時間の期限を設けて武力行使への最後通告を行ったことは、国連軽視であるばかりでなく、国連憲章など国際法の原則に違反する行動となる。また、国連安保理の機能不全を招来しかねず、この単独主義的行動は容認できない。

l 小泉政権は、湾岸戦争時の国連安保理決議、及び武力攻撃を容認していない国連安保理決議1441を根拠に、ブッシュ政権の対イラク武力行使への支持表明をしたが、戦争の正当性などについて疑義・批判の声があがる中、国民に対して全く説明責任を果たしていない。小泉政権の対応は、国益等の観点からも極めて問題であるとともに、国連中心主義と国際協調主義から逸脱した行為であり、支持表明の撤回を強く求める。

l 新たな国連安保理決議がないままの武力行使に際しては、戦費の負担は言うに及ばず、開戦の経緯から、戦後の占領に係る経費についても支出すべきではない。

l 政府に対して『テロ特措法』の厳格な適用を求める。

l 情勢の推移を注視し、邦人保護をはじめとした危機管理体制に万全を尽くすべきである。

以上


自由党

党代表: 小沢一郎氏の声名

1、国連および関係諸国の懸命の努力にもかかわらず、米英両国等と イラクが戦争に突入したことは、極めて残念である。 ことここに至った以上、米英両国等がイラク国民の被害を最小限に抑 えつつ早期に戦争を終結させることを願うしかない。 また、国連を中心とする国際安全保障機能を早急に強化、再構築しな ければならない。

2、日米安保条約第1条で、「国連憲章に定めるところ」に従って国際 紛争を解決すると明記し、国連の強化をうたっているように、二国間の 日米安保体制と、国連を中心とする多国間の国際安保体制は、本質 的に相互補完関係にあり、日本の安全保障の不可分一体の基盤であ る。

3、また、わが国の国際安全保障は日本国憲法に基づき、

(1) 国連の安保理または総会で武力行使容認決議が行わ れ、国連から参加要請があれば、国連平和活動に参加 し、いかなる協力も行う

(2) 国連の武力行使容認決議がないまま、米国などが独 自に行う戦争には参加しない ――ことを原則とすべきである。 それを誠実に実行することによって初めて、日米安保体制と国連の国 際安保体制は一体的に機能するのである。

4、イラクのサダム・フセイン独裁政権がこれまで、国連決議に反して 大量破壊兵器を隠匿してきたのは事実であり、独裁者にはいかなる妥 協もしてならないことも、歴史の教える真実である。 その意味で、最終的には軍事力によって独裁政権を倒し、武装解除す るしかない、という米国の主張は理解できる。

5、しかし、武力の行使は、どんなに国際社会の合意形成が困難であ っても、国連憲章に基づく国連の軍事行動として実施すべきである。 今回のように国連の武力行使容認決議のない戦争を強行すること は、今後の国際政治、国際安全保障において、唯一の超大国である 米国にとっても、その他の国々にとってもマイナスが多く、大量破壊兵 器等の軍備管理やテロの抑止・根絶のうえでも、かえって不安定要素 を生み出す結果となるであろう。

6、それにもかかわらず、政府はわが国と国際社会の安全保障につい て何の原則も示さず、またその場しのぎで何の理由も根拠も明らかに しないまま、国連決議なき武力行使と米国への支持を表明した。 これは、日本国民はもとより、米英両国を含む国際社会をも欺くことに なり、かえってわが国の安全保障を危うくするものである。

7、政府は「日米同盟を重視した」と説明しているが、日米安保体制と 国連の国際安保体制が一体となっているわが国の安全保障体制の核 心を見誤った愚論であり、日本の平和と安全の基盤そのものを自ら崩 壊させかねない考え方である。政府及び自民党に猛省を求める。

8、国益上あくまでも日米同盟を最優先すると言うのなら、英国のよう に米国の対等の同盟国として生死をともにすることも、日本が激動す る国際社会の中で生き抜いていくための選択肢の一つとしてはあり得 る。 しかし、政府・自民党にはそのような考えも覚悟も全くない。それは言 葉だけの日米同盟重視にすぎず、むしろ米国からも軽蔑されるだけで ある。

9、政府は「新たな国連決議がなくても、日本は武力行使も戦闘行為も しないので、米国を支持しても問題はない」と主張しているが、それこ そ偽善的行為であり、体裁だけの対米協調の最たるものである。 政府の憲法解釈では、たとえ武力行使容認決議があっても日本は参 戦できないという見解である以上、どの国もわが国の外交努力に真剣 に耳を傾けるわけがない。 他国のために真剣に汗をかかない国は、他国から本気の支援を受け られるはずがないのである。

10、わが国はまず、自立国家として、以上のような安全保障の明確な 原則を確立し、それを内外に宣明すべきである。 そのうえで、国連においてイラク戦争に関する意思統一を図り、戦争を 早期に終結させるために必要な決議を早急に行うよう、あらゆる外交 努力を行うべきである。

 

 


社民党

 

党の声名

世界の人々の平和への願いと国連の平和的解決への努力を踏みにじって、アメリカとイギリスはイラクへの武力攻撃を開始した。社民党は、国連憲章や国際法に違反し、国際秩序を崩壊させるアメリカ、イギリスの蛮行に対して満身の怒りを込めて弾劾する。同時に、平和憲法に背いて「大義なきアメリカの戦争」を支持し、これに加担する小泉内閣に断固抗議する。

アメリカ、イギリスのミサイル攻撃にさらされるのは、罪なきイラクの国民である。無辜の国民を戦禍にさらす権利はいかなる国にもない。国連決議のない今回の「アメリカの戦争」は国連憲章や国際法に違反することはもとより、一国の政権転覆を目的とする戦争は、民族自決権や国家の主権に対する侵害であり、「軍事的侵略」との批判さえ免れるものではない。法の支配よりもみずからの価値観による力の支配を優先させるアメリカの単独行動主義は、国連と国際秩序に対するあからさまな挑戦と言わなければならない。「アメリカの、アメリカによる、アメリカのための戦争」にいかなる道理も見出すことはできない。

小泉内閣は、この無法な「アメリカの戦争」を無条件に、全面的に支持した。国際紛争解決の手段としての戦争放棄を明記した日本国憲法を真っ向から否定し、戦後わが国が外交の基本としてきた国連中心主義を放棄したものと断じざるを得ない。戦争回避と平和的解決に努力する国連の圧倒的多数の国々に背を向け、戦争に走るアメリカに追従することは孤立化への道であり、国際協調の破壊に手を貸すことにほかならず、それこそわが国と国民の利益を決定的に損なうものである。国民に何らの説明もなく、わが国の基本方針を捻じ曲げる小泉首相の責任を厳しく問いたださなければならない。

社民党は、アメリカ、イギリスに対して戦争の即時中止を強く求める。「アメリカの戦争」を支持する小泉内閣の打倒を目指す。世界の人々と連帯して、戦争の中止と国連を中心とした平和の秩序回復に全力をあげる

 


共産党

 

党の声名

アメリカの無法なイラク攻撃を糾弾する ――米英の軍事行動の即時中止を強く要求する  2003年3月20日 日本共産党中央委員会

(一)  アメリカのブッシュ政権は、三月二十日、イギリスとともに、ついにイラクへの軍事攻撃を開始した。  この間、「戦争反対、査察の継続・強化による平和解決を」の声は、人類史上、未曾有の規模で地球全体に広がった。国連安全保障理事国の多数も、世界の圧倒的多数の国々も、武力攻撃に反対し、平和解決の道を真剣に追求してきた。  今回の米英によるイラクへの軍事攻撃は、こうした国際世論と平和解決の努力への最悪の挑戦であり、国際の法と正義に照らし、断じて容認できない。  日本共産党は、この暴挙を厳しく糾弾し、軍事攻撃の即時中止を強く要求する。

(二)  第一に、この戦争は、国連憲章の平和のルールを真っ向から踏みにじるものである。  国連安保理は、今回の戦争の「根拠」となるいかなる決議もおこなっていない。だからこそ、米英は、武力行使に道を開く新決議案の成立を執拗にもとめたのである。ところが、その企てが孤立し、失敗に終わった。このことは、この戦争が国際法上の根拠をもたないことを証明するものである。  

国連憲章は、武力攻撃を受けていないのに、各国が勝手に武力行使をすること、すなわち先制攻撃をきびしく禁じている。今回の戦争が、国連憲章違反の先制攻撃であることは明白である。  この戦争は、イラク問題での無法にとどまらず、国連憲章が規定した平和の国際秩序にたいする正面からの挑戦であり、世界平和の秩序ある体制をきずこうとしてきた諸国民の多年にわたる努力をくつがえすものであって、絶対に許すことはできない。  

第二に、この戦争は、イラクの大量破壊兵器問題を平和的に解決する道を、力ずくで断ち切ったものである。  国連査察団は、大量破壊兵器の廃棄のためには、「数カ月間の査察延長」が必要だとの報告を安保理におこない、そのための「作業計画」まで提出していた。大量破壊兵器の廃棄に向けた査察は、本格的軌道に乗ろうとしていたのである。   

平和解決の道は開かれていた。この道を武力でもって断ち切るアメリカ政府の行為は、アメリカ政府にとっては、大量破壊兵器の廃棄の課題が目標ではなく、武力によるフセイン政権の打倒こそが、本来の最大の目的であったことを、あからさまな形で実証したものである。  

そのことは、開戦にあたって、ブッシュ大統領が、「フセイン大統領のイラク退去」や「政治体制の転換」を公然と要求し、それが中東地域にとっての新しい「民主的」モデルとなるという見通しさえ、展開して見せたことにもはっきりしめされた。これは、他国の主権尊重、内政不干渉を定めた国連憲章の条項を公然とふみにじり、アメリカいいなりの政権を武力でイラクと他の中東諸国に押しつける無法にほかならない。  

第三に、この戦争は、罪なき人々の命を多数奪い、傷つけるものであり、許されない非人道的戦争である。  アメリカは、すでに五百万人の市民が暮らす首都バグダッドへの爆撃を開始している。国連の内部報告でも、五十万人が戦闘の直接の犠牲になり、二百万人の国内避難民が発生すると指摘している。イラクの無実の人々を大量に殺傷する戦争を、「自由と平和」の名でおこなうことほど、許しがたい偽善はない。

(三)  この無法で、野蛮な戦争を「支持」した小泉内閣と与党である自民党、公明党、保守新党の責任も重大である。  小泉首相や自民党、公明党、保守新党は、この間、「戦争反対、平和解決」をもとめる世論と運動や、国連安保理で「査察継続、平和解決」をもとめるフランス、ロシア、ドイツ、中国などの態度を、「利敵行為」とまでよんで非難し、ひたすらアメリカへの追随と迎合に終始してきた。  「戦争放棄」「武力行使の禁止」を明記した憲法第九条を踏みつけにする小泉内閣や与党三党の態度は、世界平和への敵対行為であり、平和や人命の尊さを語る資格はない。  日本共産党は、党創立以来八十年、侵略戦争反対をつらぬいた平和の党として、「イラク戦争反対、平和のルールを守れ」の旗を高くかかげ、国内外の平和をもとめる人々との共同をさらに強めるため、全力をつくすものである。

 


 

 


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