NO.10  臥薪嘗胆 勝ったアメリカですら忘れていない 呑気なのは日本だけ

臥薪嘗胆 戦争に勝ったアメリカですら忘れていない 呑気なのは日本だけ

臥薪とは、薪(まき)の上に寝転がること。
嘗胆とはキモ(内臓)をなめることです。
どちらも苦しいことのたとえです。

 中国の戦国時代末期、、呉国は越国と戦って敗れ、呉王は敗死。
後を継いで王となった夫差は父の無念を忘れないようにその日から薪の上で寝て、毎日痛みを感じることで越王(名前は勾践)への恨みを新たにしました。
数年後、痛みに耐え忍んで鋭気を養った呉王夫差の軍は越王の軍を打ち破りました。

越王勾践は処刑されそうなところ、呉の王族に大量の財宝を送り助命の活動をし、さらに講話の条件として越王勾践自身が呉王夫差の奴隷になるという屈辱的な条件までだしました。
これが功を奏し呉王夫差は越王勾践を許しました。

今度は逆に復讐に燃える立場になった越王勾践は、呉王夫差に受けた屈辱を忘れないために部屋に獣の肝をつるし、毎日それをなめ、肝の苦さを味わうたびに復讐の気持ちを思い出しました。

その20年ほど後、力を蓄えた越王勾践は再び呉の軍に打ち勝ち、呉王夫差は自害して果てました。
このようにして再度の復讐は成し遂げられたのです。

さて、第2次大戦でアメリカは日本に勝ちました。
そのアメリカで私が旅行したときの話です。

NY州の Rochesterの飛行場で航空ショーを見ました。
アメリカ,カナダ軍共同主催です。
第一次大戦のプロペラ機に始まり,第2次大戦の戦闘機、現代の落下傘部隊やF16,F18などの新鋭戦闘機、なんとステルスまで飛んできました。
あの形はこの世の飛行機とは思えない。


ゼロ戦も8機飛びました。模型ではなくて空を飛ぶ本物の飛行機です。さすがに当時のものではなくてレプリカ機でしょうけど。でも、もしかしたら本物かも。太平洋戦争当時のアメリカの戦闘機であるムスタングやカーチスP40、爆撃機B17もいっしょに飛んでましたから。

圧巻はゼロ戦8機とB17とムスタングで真珠湾攻撃を再現したところです。

ショーの名前は「トラ!トラ!トラ!」。太平洋戦争の開始となったハワイの真珠湾(パールハーバー)奇襲攻撃の映画のタイトルです。

真珠湾攻撃では、日本は当時の外務省の不手際によって開戦前に宣戦布告をアメリカ政府に渡せませんでした。そのため卑怯な奇襲と呼ばれてしまいました。

航空ショーの舞台である飛行場にハワイアンミュージックが流れる中、ゼロ戦編隊が飛んできます。

そして爆撃。
本物の爆弾は落としませんが、ショーの舞台である飛行場にあらかじめ爆薬をしかけておいて爆破させます。

飛行機と機関銃と爆弾の爆音が響き渡り、猛煙の中、ゼロ戦が次々と飛来して爆撃を繰り返します。

それをアナウンス付きで 延々と20分近くも演じるのです。
ここまでしなくてもいいだろう、と思うくらい見ていて怖い。現実感ありありのショーです。

いったい周りのアメリカ人はどういう気持ちで見ているのだろう。
もしここで「俺は日本人だ」と叫んだらリンチされるのではと思いましたよ。

しかし敵をやっつける所ではなくて、自分たちが痛みつけられたパールハーバー奇襲戦を再現するのはどういう意味か?

日本で言えば自衛隊が東京大空襲やヒロシマをショーで演じるようなものです。考えられませんね。
日本の世間は「戦災者の気持ちを逆撫でる愚行」として猛反対するでしょう。
アメリカではそんな理屈はないようです。

アメリカ,カナダ軍共同主催ですから、「アメリカだって敵襲されたことはあるんだ、だから軍費は必要だ」と言いたいのかもしれません。
未だに「Remember Perl Harber」は生きている。

勝った国ですら、やっつけられたことを忘れないでいる。
臥薪嘗胆、勝って兜の緒をしめよ。
逆に日本は、嫌なことは忘れてしまえ。

 


姉妹ホームページ