昨年暮発行のサンデー毎日(12月18日号)が、読売巨人軍の清武英利・GMと渡辺恒雄・球団会長の対立に関連して、「駄目な上司」の分類と 部下としての対応のあり方を記事にしている。 「1.暗い、威張る、ゴマする(性格の問題) 2.決断力、記憶力がない(能力の問題) 3.知っていて知らんぷり、情報隠し(倫理的な問題)。 部下は、1.と2.は許すべき、 3.は許すべきではない。 戦うべし」。
この分類で、首藤延岡市長が該当するのは、これまでの言動に照らして3.だろう。 最新の実証事例を示す。 首藤市長は今年の「広報のべおか」新年号や新年集会での念頭挨拶の中で、「延岡市では、新市庁舎建設・駅前再開発・最終処分場など『大型事業』が目白押しだ」とPRしているが、「不都合な事実を知らんぷり」している。 延岡の最大の「大型事業」は、延岡市政上・最高の事業費(総額167億円)を投下して進行中の「岡富古川、多々良」両地区の一体的な区画整理事業である。 何故知らんぷりするのか。
延岡市の人口減少幅は県内市町村の中でダントツ。 この5年間で4000人の市民が市外流出などで消えた。 その延岡市が多々良の山々を削り、流域の岡富古川地区を全面的に盛土する大規模な区画整理事業を行う。 50haの土地に、合計1240戸分の広大な住宅団地を造成中である。 首藤市長が着工したこの事業は、時代錯誤も甚だしい無駄事業である。 さらに問題がある。 「岡富古川地区30haの盛土造成」は、地盤沈下や液状化、さらには滑動崩落の危険性さえある「地震・増災事業」でもある。 東日本大震災で各地の盛土住宅地が液状化し、大惨事に至った事実は記憶に新しい。
首藤市長が新年挨拶の中で、「知らんふりしている不都合な事実」をもう一つ。 延岡市の最大の課題は「地域医療」の問題である。 市長は平成21年の新年挨拶 (広報のべおか)で、「市町村初の『地域医療を守る条例』の制定のほか、医療シンポジュウムの開催など、本市の一連の施策は全国の注目を集めるまでになりました」と胸を張った。 だが、3年経た現在、延岡市の「地域医療」は崩壊したままである。 今年の新年号(いわき市と坂井市長の挨拶掲載)には「地域医療を守る条例」はもちろん「地域医療」と言う言葉さえない。 代わりに、「健康長寿対策」などの言葉を前面に出して市民の関心をそらす。
不都合な事実を隠そうとする『心』は、困難な事態から逃れようとする『心』や自分の事を優先する自己保身・自己利益の卑なる『心』と同根である。 首藤市長は、眼前の「地域医療対策」を市民が病気しなくなれば医師不足問題は解消するとする「将来的」な「健康長寿対策」にすり替える。 市長に近い内田市会議員はブログ(09.12.21)で「目の前で溺れかかっている人を救うのが政治ではない。 溺れる人を作らないのが政治だ」と詭弁的な主張をする。 困難な問題解決を将来的な課題にすり替え市民の関心を逸らすのも首藤市政の特徴である。
トップの知識不足や行政能力の不足は、有能な職員たちによって補う事ができる。 しかし、「不都合な事実を隠し、困難を回避する」ような「倫理的な問題」、要するにトップの『心』の問題は職員によって補完する事はできない。 市長自身が己の問題点を自覚し自ら改めるしかない。 そのためには、周囲がそのことを気付かせる事が必要である。 延岡市は平成24年を、首藤市長の『心』が少しでもよりよき方向に生まれ変わるそのスタートの年とすべきである。 (平成24年1月)
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