自民党とによる、民主党マニフェストの財源に対する攻撃がやみませんが、私はその財源を企業の内部留保に求めるべきであると確信しています(打ち消されがちではありますが、既に識者の皆さんからも提言されていると思います)。 まず財務省・財務総合政策研究所の「法人企業統計調査」によれば、平成10年度から平成19年度にかけての金融業、保険業を除く営利法人の純資産額はつぎのようになっており、平成10年度から平成19年度にかけて、実に201兆6693億円も増加していることがわかります。 平成20年度からは「資本主義食物連鎖」の最上位に位置する金融業、保険業も統計に加わりますので、この10年間に企業が溜め込んだ膨大な内部留保の蓄積がさらに明らかになるでしょう。
純資産額 平成10年度 2,523,187億円 平成11年度 2,869,796億円 平成12年度 3,363,388億円 平成13年度 3,134,800億円 平成14年度 3,380,944億円 平成15年度 3,480,933億円 平成16年度 3,836,558億円 平成17年度 4,037,846億円 平成18年度 4,554,280億円 平成19年度 4,539,880億円
次に国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、平成10年度から平成19年度にかけての給与総額は次のようにほぼ一貫して減少しており、企業の純資産額の増加と見事に連動していることがわかります。 また、平成10年度と比較した給与総額減少額の累計は140兆5653億円に達しています。
給与総額 平成10年度と比較した 給与総額減少額 平成10年度 2,228,375億円 平成11年度 2,174,867億円 53,508億円 平成12年度 2,164,558億円 63,817億円 平成13年度 2,147,215億円 81,160億円 平成14年度 2,079,134億円 149,241億円 平成15年度 2,036,827億円 191,548億円 平成16年度 2,017,742億円 210,633億円 平成17年度 2,015,802億円 212,573億円 平成18年度 2,000,346億円 228,029億円 平成19年度 2,012,722億円 215,653億円 計1,406,162億円
この二つの統計を比べれば、「この10年間、企業はサラリーマンの給料を削って蓄財に励んできた」という事実は、一目瞭然です。 つまり我々一般国民には、汗水垂らして働いてきた労働の正当な対価を、企業から還元してもらう合理的な根拠があるのです。 そして企業には、この国難に際し、国民生活を正常化し、健全な国家を復活させる責任があります。 現実にそれを実行できるだけの企業会計上の裏づけもある訳ですから・・・。 では、具体的に、どのようにしてこの内部留保を企業から還元させればよいのでしょうか?私は、国民生活が正常化に必要な期間を暫定的に定めた上での時限立法で、企業の内部留保に対する資産課税を行うのが、実効性及び透明度の高い方法だと思います。 もちろん海外への資本流出を防止するための外為法改正等、付帯的立法もセットにしなければなりませんが、日本の国益のために是非必要な施策だと思います。 こうした施策は財界の反発が容易に予想されることから、国民の幅広い支持を受けるべき総選挙前の現時点では打ち出しにくい民主党の都合もあると思いますが、来年度予算案策定(実はそう多くの時間は残っていません)までには、いずれにしろ具体的な財源を用意しなければなりませんので、こうした合理的で、国民感情に沿い、さらには財務省の省益にすら合致しそうな解決策は思い切って採用すべきでしょう(すでに同族会社に対する留保金課税は実施されていますしネ・・・)。
猿山政治論 http://blog.goo.ne.jp/saruyamataro
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