●自由競争、市場原理主義の考え方の企業、投資家をグローバル化の中で放っておくと、安い労働力を求めて海外の労働力を利用しようとします。 そうすると、日本の労働者層は途上国の労働者と同じ賃金で働いて競争しなければならないので日本において途上国の人と同じ賃金しかもらえないワーキングプアが発生します。 (ちなみに、もはや途上国と言えない中国のお金の価値は日本の20分の1〜10分の1です。 )
昔は、海外の安い製品を日本に輸入した時に日本製品と同じ値段になる様に、関税を障壁にして日本の労働者を失業から守っていましたが、構造改革後、アメリカの勧める自由貿易の流れに乗っかっている様です。
80年代後半のバブル期に円高で日本製品の国際競争力が低下した時に、企業は安い労働力を求め工場の海外移転をし、又、海外製品を逆輸入する企業も出始めました。 国内工場閉鎖や下請け企業切りが横行し、投資家と海外進出した大企業を除き国内が徐々に不景気になっていきました。 1997年にアジア通貨危機によって海外投資が空振りし、又、安い海外製品の流入により国内中小企業が潰れまくったり、海外進出&逆輸入していない大企業が赤字を出し続け、銀行が破綻したのが1998年(同時期に外為法、金融の自由化)。 政府と銀行と大企業による護送船団方式の国内経済と産業のコントロールがぐちゃぐちゃになったのがこの時期ではないでしょうか。 その後、銀行再編と同時に外資を受けいれ、外資や経団連との話し合いによる国内の経済、産業のコントロールに切り替えたと推理します。
ただ問題なのは、アメリカは株主の権利が経営者や労働者より強く、投資家が高配当を求め過ぎるがあまり労働者の低賃金化やリストラを必要以上に進めることです。 そのせいで、日本の投資家と企業は過去最大の業績や収益や配当をここ数年あげるとともに、合理化や合弁の方針によるリストラと非正規再雇用化によって、失業者とワーキングプアを大量生産し続けました。
地方においても、構造改革前は日本の地方に産業はないので外貨等を稼いでいる企業に対して高課税し、それを地方交付税と公共事業と補助金による税金(富)の再分配をする形の、穏やかな共産的社会をやっていた所を、構造改革によって地方の公共事業と補助金で生きていた(外貨稼ぎに貢献していなかった)人達が、地方交付税や補助金カットで失業し、世知辛い投資効率重視の自由競争、市場原理主義のグローバル世界競争社会の中で、(地方の労働者が足手まといとして救済されなくなり)経済難民となって都市部への出稼ぎ低賃金非正規雇用のワーキングプア、ネットカフェ難民、ホームレスとなりました。
政府はアジア通貨危機以降の経済混乱に対して金融、構造改革を打ち立て減税、政府支出削減、規制緩和を行い、アメリカの真似、恭順の自由競争、市場原理主義の金融、社会改革を行いました。
過激な利益追求を押し進める投資家、投資会社、大企業はグローバル化競争社会の中で弱者の仕事を奪い、効率、利益追求の為の労働者の低賃金の非正規雇用化をおし進め、弱者の実体経済を細らせ経済難民を貧困、自殺、犯罪、殺人鬼に至らせています。
アメリカの株主や経営者は会社が赤字でも高配当を求めたりします。 株主に対する配当の方が大切で会社が少しでも傾くとレイオフ、工場閉鎖を安易にします。 投資効率を求めるあまり労働者や社会をないがしろにしている部分が多いです。
そんなアメリカに憧れて、ただ投資家、大企業の要求する効率重視のアメリカ的な投資、金融の自由競争、市場原理主義による支配、価値基準社会を国内外に対しての日本の政策として勝手におし進め、それに乗っかって安易に利益追求の足手まといとなる福祉を削ったり、企業の観察、管理機能を有する行政機関を邪魔者として縮小、破壊するのは国の未来を危うくしかねないと思います。 安易に非効率、無駄として小さな政府&行政機関、規制緩和への改革を行うと、国のセーフティネットやモラルチェック機能が破壊され、日本社会の北朝鮮化、途上国似の退化が進むのではないでしょうか?
又、グローバル化にともなう社会、経済の混乱は投資家、企業にとって荒稼ぎ出来るまたとない機会だが、高配当を求めた投資、先物市場の盛況は社会、経済混乱をさらに加速させます。
アメリカの金融工学をもてはやしての投資、金融の改革、経済政策なのでしょうが、アメリカの投資、金融による経済、社会の支配化競争による世界経済、社会の混乱や市場の賭博化を見ていると、難しい理屈で誤魔化しているぐらいにしか思えません。
又、グローバル化による企業のM&Aの横行は世界の企業数を減らし続け、少数の大企業による業界の寡占化を進めることになり(ミタル、ウォルマート、マイクロソフト等々)世界の企業の産業支配地図を単純なものにするとともに、(現在の日本の様に元々共産的だった社会を破壊して)庶民から仕事やお金を奪うことにつながり、庶民に永遠の不景気と貧困を与えることにしかならないと思います。 それを解決する為には、経済、産業、社会、文化を複雑にして万人に仕事が行き渡る様にすべきと考えるべきです。
その為にも結局、非効率でありながらも国ごとに経済、産業、社会、文化を区切って関税や規制を設けたり(反グローバル化、反構造改革)、経済の流れや社会を複雑にする為にも投資家、企業連合から税金をとって、中小零細個人の商工農企業に補助金を出して産業振興を助けて個性ある産業を独自にやらせるべきと考えます。 カルテル、トラスト、コンツェルンやコングロマリットには、規制や重課税をかけるべきです。 大企業や投資資産家に、お金や権力が集中してしまい社会を支配しかねないので、力を抑える為にも必要と考えるべきです。
同じ理由で、ヘッジファンド等々の投資や金融商品にも規制や重課税が必要です。 無制限の過激な投資による自由競争は搾取的で、進歩よりも破壊や混乱を人々に与えます。 共産、社会主義にも立派な経済工学の考え方があり、課税による税収とそれによる富の論理的な再分配の考え方の有効性を見直すべきです。
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